July 8, 2006
  • Posted by shin in Kyoto

アレックス・カーの講義に行ってきた

今日は、会社を早退してアレックス・カーの講義に行ってきた。たまたま同僚とのランチで、旧明倫小学校の前田コーヒーでランチを食べたときに、アレックス・カーの講義がメトロであるということを聞き、行くことにしていた。

内容は、非常によかった。私はアレックス・カーを少し勘違いをしていたようだ。私は、彼を古き良き日本を追い求めるロマンチストだと。そして、日本は破産するしかない、というなど、過激的なことを言う人だなぁ、と。確かに、講義に自己紹介をしている際に、かつて彼はそうだったということを認めている。しかし、今日のメインの話は単純に彼が古き良き日本を作っていこうとしない日本を批判するのではないということがわかった。

彼は、もし、日本が、そして京都がモダン芸術を求めるならそれをキチンとして欲しいといったことを主張してたのだ。彼の内心は、できれば古き良き日本を使わなくなることに対してさみしさを覚えるようになるのは確かだけど、モダンな芸術をアピールして京都を売っていくなら、それはそれで一つの道と言えるのではないか、といったことである。

講義に行ってみて私の感覚は麻痺していたなぁ、と思うことはしばしばあった。私は、以前よく雲ヶ畑などにサイクリングに出かけていたのだが、そのときに見る突如として現れたコンクリートで埋められた山の斜面などに違和感を感じなかったのである。あたかも当然かのように、これはそういうものだ、という感覚で過ごしていた。そして、北山杉なんて、綺麗に植林してあっていいなぁ、と思っていた。しかし、今日の講義を聞いてみて大丈夫か>ヲレ 麻痺してるんじゃない?と考えてしまった。

そして、講義を聞いているうちに彼がなぜ、「日本を目覚めさせるには、破産する必要がある」なんて言っていたか、わかった。しかし、非常に悲しい気持ちにもなった。彼は、日本の社会自体が麻痺してしまっていて、間違った方向に行ってしまっているということを指摘し、そういうときにこそ止めるべき有力者、つまり政治家や学者が情けない状態にいることを嘆き、一度現在の日本の状況をひっくりかえすことがない限り、無理だろうということだった。

議論としては、日本のゼネコンや予算に関してのことを例としてあげていて、まるで予算を使わないといけないという感じになっていることを指摘している。そして、その予算を用いて環境と共生しようとしないコンクリートで全く関係のない山を削ろうとしている。そして、お国で働いていらっしゃる方はそれをがんばって支援しているとのことだった。しかし、彼は、例としては使用したが、ゼネコンが悪いとか政治が悪いとか、責任転嫁をするのではなく、日本の社会全体、私も含めて日本人が悪いということを指摘していたのだ。

例えば、京都が本当に歴史都市、古都を売りにしようとしているときに、町家を壊していっていたり、そして住民は、自分達が歴史のある京都に住んでいるという意識よりも、西洋かぶれなピンクやグリーンなマンションを町家のとなりに建てたりして、景観をくずしていく。

実際、現在私が住んでいるのは、大正から続く町家であるけども、家の正面は「キレイ」な三階建ての一軒家だったりする。そして、私が引っ越してきてからも、近所の町家は壊されていたのを見ている。そして、「キレイ」な家が建っていっている。市民はぶっちゃけどうでもいいと思っているのだろう。

本当に、日本の古都として誇りを持って京都をアピールしようとするのであれば、このことは反対すべきことなのだろうけど、みんな口だけで、そして、盲目的でダメだ、と。

悲しいかな。アレックス・カーも「日本は破産して」なんて言いたくないだろう。講義を聞いていると、彼がとても日本を愛していることがよくわかり、また、そのことが悲しかった。

京都に在住のかたへ、

Alex Kerr氏の講演に行ってこられた由、実は小生はBangkokに棲んでおりまして、こちらで氏の講演があるというので聴講してみようと思い、その前にベンキョーをとwebを覗き、貴殿のcommentを拝見した次第です。 雰囲気が分かり、助かりました。

確かに日本の大半は未だおかしな方向に走り続けているようです。 でも、九州のなんとかいう温泉町のように日本のかつてあった良さを再認識し、再構築する動きも一部にあり、それが当世の客に大人気とかですから、まだ少し安堵しています。 海外に住んでいますと、意外と他の国では若い人が抵抗なく伝統を受け継いで楽しんでいます。 日本は外国の人に指摘されないと認識できないなんて哀しいですね。

Best Regards,

Comment by Fred HOSONO — October 23, 2006

Fred HOSONOさん

コメントどうもありがとうございます。Bangkokですか。確か、Alex Kerr氏は、半分日本で、半分Bangkokで生活していると聞きました。私も2か月後にBangkokを起点に旅行する予定です。と全く関係はないですが。。

私の文章を今、読み直しましたが、誤字脱字の多くて申し訳ないです。。

確かにFredさんが言われるように、いくつかの面白い試みがあることは確かなんです。京都でも昔の銭湯をカフェにしたり、町家を有効活用したりなどしています。ただ、多くの住民は、京都の文化を守るというよりも、住む家として考えていることは確かです。私の住んでいる西陣も京都の中で町家が多い区域なのですが、どんどん町家がつぶされていってしまっています。

私も、来年移行、海外に移住する予定でして、日本の、京都の、伝統、文化が心配でなりません。Fredさんが言われるように、単純に古いものを保つだけでなく、「再構築」という言葉がとても重要だと思います。

Comment by shin — October 24, 2006

Shin様、
いやー、当方のmailにご返事を戴いていたのですね。 すみません、私、いつもひょこっとblogを覗き、返事をしたくなると何かを書き殴りそのまま見もしないという大悪癖があり、今回も友人がたまたま私共の遣り取りを半年後に見て、アンタ、こんな話をしておるのかと言ってきて分かった次第です。 大変申し訳ありません。

ところで、伝統を守る話しですが、なにも意固地になって死守しなくてもよいと私は思っています。 文化の継承とは自然に受け継がれてゆくものですから。 ただ、前に言いましたように、再構築してゆく心構えが大切ではないかと思います。 それにしても現代日本人はよき伝統をあまりにも捨てすぎてきたようです。 ここらで見直す時期に来ていると思っています。

Shinさんは今年にどこかへ移住されるとか。 何処にされましたか? 因みに当方はタイにて10年以上、日系企業に務め今はretireして、南国の呑気な暮らしを満喫しております。

 

Comment by Fred HOSONO — May 24, 2007

あー。実は、コメントをいただいたときは、まだバンコクにいましたー。。。ちょうど昨日(6月1日)に旅行を終えて帰ってきたところです。

バンコクにいたときに、あまりインターネットをしていなかったので、気づきませんでした。

私は、タイ北部、ラオス、ベトナム、カンボジア、タイ南部、マレーシア、シンガポールと旅行して、最後にバンコクでスーツを作って日本に帰りました。当分のところ、アメリカ就職を考えておりまして、いくつか履歴書を送る予定です。

タイは、いいですねー。個人的には、Lipe島が良かったです。って、すごく南ですが。。。

Comment by shin — June 2, 2007

15/07/2007
情熱大陸という番組がここ日本で放送されました。
今回はアレックス・カーさんについて紹介があり、偶々このブログに行き着いた次第です。
このブログの会話の流れを見る限りであれば、アレックス・カーさんの語る日本の危機について、筆者は深刻に受け止めていないように思えます。いや、もしかしたら深刻だが、諦めている?ようにも思えます。
いや、アレックス・カーさんの語る問題は各個人にとってやはり、他人事でしかないのだろうと思います。
結局のところ、みな感想を述べて自己満足の世界に浸っているだけなのです。

私が考えるアレックス・カーさんの問題は、もっと根本的なところに原因があるように思えます。
つまり、日本人ほど “自分にしか興味の無い種族” はこの世のどこを探してもいないということです。

私が言っていることは、間違っていますか?

Comment by keiji — July 16, 2007

keijiさん
コメントどうもありがとうございます。情熱大陸は、見ることができませんでした。
確かに私自身も深刻に受け止めていないのは、痛いところです。また、深刻に受け止めるということは、具体的にどう振る舞うことなのかが、よくわかっていないのが本音です。

以前は、京都の町家に住んでおりましたが、深刻に受け止めるために住んだのではなく、それが楽しいからという自己満足からそういったことをしていました。こういう風に思える人が増えることこそ京都の古い街並みを残していくということにつながるのではないか、と考えています。

> つまり、日本人ほど “自分にしか興味の無い種族” はこの世のどこを探してもいないということです。

そうでも無いと思います。確かに次の二点から日本は少し特殊な位置付けだなぁ、と思うところはありますが、日本人を特別扱いすることは私は反対です。

1:島国のため、また日本語がほぼ唯一の言葉のため、他の国々との文化の接点が少ない。
2:先進国のため、他の国々に比べ、日本国内に世界レベルの経済圏ができている。

日本の持つ素晴らしさは、世界の中での相対的なものであると思いますので、多くの日本人には海外の素晴らしさを体験し、そこで日本の良さを再発見してもらいたいと思っております。

そんなこんなで、私はまた京都に戻る予定です。やっぱり京都は私にとって最高の場所ですので。

Comment by shin — July 16, 2007

 先日、数ヶ月間のヨーロッパ出張を了え、帰国致しました。
今回は美しいヨーロッパの町並み(変哲無い生活圏)を中心に沢山の写真を撮って居りましたが、その美しさに
感動すればするだけ、逆に祖国日本のあまりの自己中心主義的文化遺産の加速度的破壊に胸を痛めておりました。
 偶々、観た情熱大陸でのアレックス・カー氏の主張に帰国後、悶々としていた自身の内なる想いに明解成る答えを頂いた思いではありましたが…
 だからといって、どう仕様も無いという諦めも同居しております。
確かに個人レベルでの意識改革が絶対条件ではありますが…
 リセットからのスタートしか無いのでしょうか?

Comment by Toshi — July 18, 2007

Toshiさん

情熱大陸ブームですね。見たかったなぁ。

確かに私も日本の文化遺産の破壊は非常にもったいないと思います。私は日本人というものを特別視するのは好きではありませんが、日本の持つ文化や歴史は素晴らしいものだと思います。

> リセットからのスタートしか無いのでしょうか?
うーん。どうなんでしょうかね。。。

Comment by shin — July 18, 2007

アレックス・カー氏が書いた「犬と鬼―知られざる日本の肖像」の英語版を読んでるところで、「日本人はこれに対してどう思っているのでしょうか」と思い、Googleで「アレックス・カー」と検索すると、このブログについた次第です。Shinさんなどのコメント、大変参考になりました。

私はスウェーデン人ですが、もし自分の国が外国人にそれほど厳しく非難されたら、Shinさんのように冷静に受け止めることはできるかどうかと疑惑を感じます。

ナントカなるでしょ。

Comment by 馬 — July 23, 2007

馬さん

コメントどうもありがとうございます。
スウェーデンからコメントをいただけるなんて思ってもいませんでした。遠いところからどうもです。

アレックス・カー氏に関しては、ただの外国人ではないところが日本でも注目されているところだと思います。よく日本を美化しすぎに考えてしまう外国人が多い中、彼は日本での生活も長いため、冷静に考えることができている立場だと思います。また、私は日本以外の文化で生活していたことが長く、少し純粋な日本人とは違う考えを持っていると思いますので、冷静になってしまうのですね。

しかしながら、アレックス・カー氏に関しての意見は分かれるところでして、次のamazonの評価も読んでもらえれば、さらに参考になると思います。
http://www.amazon.co.jp/%E7%8A%AC%E3%81%A8%E9%AC%BC%E2%80%95%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%96%E3%82%8B%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E8%82%96%E5%83%8F-%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E3%82%AB%E3%83%BC/dp/4062081016

これだけ賛否両論分かれる人は、珍しいです。

Comment by shin — July 24, 2007

ニューヨーク在住23年のインテリアデザイナーです。
昨晩、情熱大陸のビデオをみたところで、このサイトに辿り着きました。

海外からみられている日本というのは残念ながら日本人が思っているほど
美しい国ではないということを、日本人は本当に自覚しているのでしょうか?
皆さんのコメントを見る限り、日本文化や財産の破壊や風化を止めることは
容易ではないように思います。欧米の目は既に他のアジア圏にうつってしまって
いるのに、今後はどうやったら日本が魅力的な国として存続できるのか日本人が
全然気にしていないように思います。

こういうサイトでコメントするのは初めてなので、ちょっと勝手がわかりませんが
危機感さえ感じてメールしてみました。

Comment by アイコ — August 10, 2007

アイコさん

コメントどうもありがとうございます。

> 海外からみられている日本というのは残念ながら日本人が思っているほど
> 美しい国ではないということを、日本人は本当に自覚しているのでしょうか?

鋭い指摘ですね。確かにその通りだと思います。日本人ですと多くの人が日本国内で経済も政治も娯楽も完結してしまうので、自意識過剰になってしまっていると思います。また、メディアコントロールにより「日本は魅力的な国」という宣伝が蔓延していますので、この意識の中から飛び出るのは難しいのも確かです。

確かに私も京都に長く住んでいましたので、バイアスがかかっていましたね。私の言う「日本」という言葉にはすでに京都というフィルターがかかっていますので、かなり特別なものだと思っております。

> 欧米の目は既に他のアジア圏にうつってしまっているのに、

中国やインドには行ったことはありませんが、東南アジアに関しては、半年ほど旅行しておりましたが、外国人の観光産業に依存しているのがよくわかります。逆にその国民よりも外国人観光客の方が多くて、どうなんだろう。。。と考え込んでしまいます。また、この件については、以下の理由から、それでもいいという状況のようにも感じています。

> 今後はどうやったら日本が魅力的な国として存続できるのか日本人が全然気にしていないように思います。

アイコさんが危機感を感じているところですが、こういう見方もあります。
http://www.chikawatanabe.com/blog/2007/06/post-1.html
上のコメントでも書きましたが、日本国内でほとんど完結してしまうところに世界レベルで日本は素晴らしい国だとアピールする必要がないというのが現状だと思います。

孤立していたおかげで、マンガやゲームなどの文化が出てきたようなところもありますので、まぁ、世界を意識する必要はあまりないのかもしれないという意見も確かに貴重で面白い視点です。

個人的には、京都の持つ歴史や文化は興味深いと思いますのでうまいことやって欲しいなと思います。というわけで、今から鈍行で京都に向かう予定です。

Comment by shin — August 11, 2007

Shin さん

コメント、どうもありがとうございました。
いただいたコメントやサイトを拝見して感じたことは本当にいまの日本人は
現状に満足しているということですね。それは幸せな国だということです。
危機を感じるというよりはこのままずっと続けばいいな、という気持ちです。

ニューヨークみたいな雑多な人種もメチャクチャなところに住んでいると
日本人のアイデンティティーがどうなのか毎日自問自答するところです。
日本人は自分も含めて外国人に比べると積極性もアピールも下手ですが
経済力がまだあるので外国と比較する必要性も感じないのでしょうね。
京都に限らず、日本特有の大切にするべき習慣や文化が少しでも若い世代
の人たちで上手に守っていければと祈る思いです。

日本は残暑が厳しいようですので、お体に気をつけてお過ごしください。

Comment by アイコ — August 14, 2007

壊したものを復活させるのは難しいですが、日本人もただ手をこまねいているだけではないのです
不幸にもバブル崩壊以後、公共事業に対する風当たりがきつくなり、自然回帰の工法すらなかなか施工できない現状があったりもするのです
外圧など無くても、自ら気付き動いていますよ
ヨーロッパのようにある時点で時を止める様なやり方を、日本ではなかなか出来ないので、外国を手本としたい人には受け入れがたいところがあるのかもしれません
そして、壊したものを直すのは、やはり無駄で難しいことでもあります

また、住居や町並みをどう文化と捉えるかと言うこと自体も文化だと思います
そして、生活様式すら、どの時代のものも文化だと言えます
ある時点のものが、絵にかいたような様式美があるからそれが一番大切なのか?
朽ちていく木で出来た家だからこそ無くなっていく、それも日本の文化だとも思います
私は京都と言う都市は古い文化を大切にする地域だと感じています
それも、町家だけでなく、いろいろな建造物に対して
ただ、理想の京都像をお持ちのかたには歯がゆい部分が多々あるのでしょう
理想の京都、理想の田舎、そう言うものが先にたつ文化はつまらないものになるような気がします

日本のいたるところが小東京化しようとしている気がしますが、それぞれの生活を楽しみ、便利さだけに流されない基本教育が、日本にかけていることだと思います
今は生活を楽しむ余裕の無い人が増えてしまっただけなのか知れませんが・・・

新景観規制条例が施行された京都は、住む人来る人共に楽しめる町になるといいですね

Comment by 旅人 — September 7, 2007

旅人さん

コメントありがとうございます。

おっしゃるとおり、日本は日本なりのやり方でやればいいと思うのですが、外圧をどう考えるか、も日本なりに考えてやっていって欲しいですね。

また、実際のところ公の機関がどうやっているかわからないので、なんとも言えないので難しいのですが、大きな組織というのはやはり動きにくいし、パラダイムシフトには、既存の利権に拘る人たちからの反発を受けないといけないので大変だとは思っています。それでも乗り切ることができれば、日本は安泰かな、とまた、他人事のように考えています。

文化の考え方は、なるほどもう一つ上のレイヤーから考えていらっしゃいますね。また、小東京化しているという表現には同意です。小東京がたくさんできても個人的には楽しくないですし、生活の楽しみ方が限られてきてしまっているという考えも嫌ですね。

> 今は生活を楽しむ余裕の無い人が増えてしまっただけなのか知れませんが・・・
確かに。また、あたかもそれが美徳かのような考えがある中で生きていくことは大変です。私はすでに一般的に言われる普通の人とはだいぶ道を別にしてしまったような気がしますが、かつては大変悩んだこともありました。

Comment by shin — September 10, 2007

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